下記の概念図は下降トレンドを形成して下げてきたレートが、
この図を使って、損切りラインを巻き込みレートが大きく伸びていく様子を見ていきましょう。
この図で、高値を切下げて反転してくるA1やB1のポイント、そして安値を更新するA2やB2のポイントでは、
それらのトレーダー達の損切りは、ピンクラインで示した直近高値に入れてきます。
そして、B2を抜けることでレートは大きく下げ、A1・A2及びB1から売りポジョンを保有しているトレーダー達は、
その後過去の節目ラインに支えられ一旦戻しますが、
彼らは下降トレンドが継続しているのを見て、次も安値更新していくだろうと判断し、C1で売りエントリーしてきます。
そして、彼らの損切りの多くは、
しかしながら、その後安値を更新することができず、ダブルボトムを築いて反転上昇してきます。
この時に一部の気の早いトレーダーは、
あれ、もう下に行かないのかな。トレンドはもう終わりなのかな
安値更新できなかったか、ちょっと嫌だな
と思い始めますので、利益確定の買い注文を出し始めます。
とは言え、Cの損切りライン(ネックライン)を抜けない限り下降トレンドは継続中ですので、多くのトレーダーはレートがこの後どうなるか静観している状態です。
しかしその後、レートは上昇を続け、遂に①でネックラインを抜けてきました。
このネックライン抜けには、以下の買い注文が集中していることになります。
■C1で売っていたトレーダーの損切りの買い注文
■ダブルボトム形成からトレンド転換を狙った新規の買い注文
このネックラインは、短期的にトレンド転換が確定するラインであるため、
A1・A2・B1・B2で売っていたトレーダーは利益が出ましたが、C1で売ってしまったトレーダーはお手上げで損切りすることになります。
また、節目ラインにしっかり支えられてダブルボトムを築いてきたのを確認でき、ネックラインを超えることで短期的にトレンド転換が確定すれば、
このように、さまざまな思惑の買い注文が①には集中することになり、①を上抜けると注文を巻き込んでレートは勝手に上昇することになり
とは言え、図中の☆印の時点では、ダウ理論的には戻り高値を超えていないため、まだ下降トレンド継続中とみなされますから、戻り目からの下げだと判断してDから新たに売ってくるトレーダー達が多くいます。
そのため、一度レートは下げていくことになります。
ですが、下げていたレートはダブルボトムのネックライン付近で反転し始め、上昇に転じてきました。
これを受けて、戻り目からの下げだと判断してDから新たに売っていたトレーダー達が、
あぁ、もうこれ下がらないな。さっさと決済しておこう
と判断して、決済の買い注文を入れてきます。
また、
安値切り上げを見せてきたので買い勢力の力が強くなってきているな
と判断したトレーダー達が買い注文を入れてきますので、先ほどの決済の買い注文と合わさってダブルの買い圧力となり、レートは上昇していくこととなります。
その後レートは③の高値を超えて、本格的に上昇していきました。
③には以下の買い注文が入っています。
■B2・C1で売ってまだ粘っていたトレーダーの損切りの買い注文
■Dから売っていたトレーダーの損切りの買い注文
■①や②で買いそびれたトレーダーの新規の買い注文
■①や②で買ったトレーダーの追加の買い注文
再度高値を更新することで、当然新規の買い注文は入ってきます。
このように、さまざまな思惑の買い注文が③には集中することになり、③を上抜けると注文を巻き込んでレートは本格的に上昇することになり
いわゆるエリオット波動第3波というやつですね。
実チャートで実際の値動きを確認
最後に概念図で説明してきたものを、実際のチャートを使って見ていきたいと思います。
下記は日経225の1時間足チャートになります。
概念図で使った下降トレンドから上昇トレンドに転換するというものとは正反対ですが、考え方自体は全く同じですので、この実チャートを使ってどこにどのような注文が集中しているかをご自身の頭で考えてみてください。
□部分でレートが大幅下落した理由
①:A1・A2・B1で買ったトレーダーの決済(=利益確定)の売り注文
②:B2・Cで買ったトレーダーの損切りの売り注文
③:ダブルトップ形成からトレンド転換を狙った新規の売り注文
その他大勢がどう行動してくるのか?
以上、
「下降トレンド → ダブルボトム → 上昇トレンド転換」
の流れにおける注文の集中を簡単に見てきました。
このようにチャートを見る時に常に考えないといけないことは、
「その他大勢がどう行動してくるのか?」
ということです。
相場には常に、
2.売りポジションを保有しているトレーダー
3.売買ポイントを探っているトレーダー
の3種類が存在しています。
それらのトレーダーの思惑が一方向に一致したとき、
上昇であれば、新たに買い注文を入れたくなる・
そのひとつの例が、今回ご紹介したチャートの①のポイントですね。
このように、他のトレーダー達がどう行動してくるのかが見えることで、
ですので、今回解説したような見方で、
全く違った景色に見えてくるはずです。